ほめられた話題ではないが、リストラ対象者に辞職を促す秘策があるという。厳しい仕事を与えるのは逆効果。音を上げるどころか、次第に生き生きと厳しい仕事に対して意欲を燃やすという。▼むしろ反対に、まったく仕事を与えないのがいいらしい。もしくは、誰でも難なくこなせる仕事を与えるのもいい。そんな状況に置かれると、仕事への意欲がそがれ、辞職を考え始めるらしい。人は楽を求めるものだが、何のストレスもない楽なだけの日々には耐えられない。▼りっしんべんは「心」を表すので、「忙」という字には「心を亡くす」という意味がある。確かに忙殺の日々を送ると、心がささくれ立ってくる。かといって、無為の日々も心がすさむ。「小人閑居して不善をなす」という言葉があるように、暇を持て余すのは精神衛生上よろしくない。▼過度の忙しさは心を亡くす恐れがあるが、適度な忙しさは張り合いをもたらす。やりがいがあり、前向きになれる。ゆったりした時もあっていいが、ゆったりしすぎると心の張りが失われる。▼文筆家でもある白洲正子は「人は、忙しい時の方がどんなに気楽に暮らせるか解りません。ひまをつくる事よりも、ひまをつぶす事の方がはるかにむずかしい仕事であるからです」と書いた。この大型連休、どう過ごすか。(Y)