子どもは笑っているか

2017.05.27
未―コラム記者ノート

 大阪の繁華街“ミナミ”で、外国にルーツのある子どもたちを支援する活動を続けている篠山市在住で、大阪市立南小学校長の山一人さんの講演を聞いた。2012年4月、山さんが同校長として赴任した矢先、外国人の母親が新1年生の我が子と無理心中する事件が起きたのが支援活動のきっかけだった。
 両親が仕事で夜に家を空けるため、へとへとになりながら幼いきょうだいの面倒を見る小学生、授業についていけなくなって学校を休みがちになりながらも高校合格を勝ち取った中学生―。講座では、そんな同校の子どもたちのドキュメンタリー映像が流され、辛そうな顔よりその笑顔が印象に残った。
 言葉や異文化の壁、親の都合に振り回される子ども、そして、悲しい現実の中にありながらも、つながり合う地域、団体、個人。社会の嫌なところ、素晴らしいところを凝縮して見ているような、そんな講座だった。
 外国にルーツのある子どもに限らず、「悲しい目をした子どものいない地域」以上に望むことはない。丹波地域の子どもの目は笑っているだろうか。(芦田安生)

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