両論併記の黒子で

2017.06.08
未―コラム記者ノート

 篠山市を「丹波篠山市」とすることを求める要望書が提出されたことを機に再燃した市名変更問題。取材先や井戸端会議、あるいは酒席でも議論が交わされているのを目の当たりにし、あらためて関心の高さを実感している。
 新聞社の基本は両論併記であり、どちらかの意見に偏った報道、あるいは姿勢を示すべきではない。
 そして、記者は黒子だ。情報のそばに寄り添い、あるいは見いだし、発信し、地域の人がより良い地域になるよう、さまざまなことを考える材料の提供者になることこそが仕事だと思っている。
 ゆえに今後の議論の参考にしてもらいたいと、賛成、反対、双方の意見が出た議会報告会の取材に力を注いだ。そこから見えてきたことは、双方とも、故郷のことを考えているのは同じということ。議論は結構だが同じ土地の仲間同士、なじりあいにはならないよう気をつけてほしい。
 市名変更、現状維持、どちらにしても、そのプロセスを追い、今後も発信を続けたい。遠い未来の人が読んだときに、当時の空気や温度が伝わるような記事にできればと願っている。(森田靖久)

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