日本遺産「鯖街道」

2017.06.10
未―コラム記者ノート

 「日本遺産」の看板を2枚も手にした篠山。「よその登録地はどんな所?」と友人と「鯖街道」をバイクで流した。
 鯖街道は複数あり、今回走ったのは最古にして最短といわれる「針畑越え」ルート。起点の福井県・小浜から遠敷、上根来、針畑峠、京都府・久多、鞍馬、出町という道程だ。道筋にはひなびた神社や村が点在し、日本遺産にふさわしい悠久の歴史を感じることができた。なかでも印象的だったのが、山村集落の上根来。
 村の入り口では小さな石仏群がにぎやかに迎えてくれたが、村内に人影はない。昭和40年代で時が止まったかのような趣のある集落をぶらぶら歩いていると、「鯖街道御休処『助太郎』」の看板がかかった古民家が現れた。「ご自由に」の張り紙に、中で休憩していると、助太郎邸の主という女性が来られた。「往時は40数世帯あったが高齢化が進み、積雪1を超える冬を乗り切れないと離村。数年前に廃村になった」と聞かされた。少ししんみりとしたが、おばさんの柔和な笑顔に癒され、その独特のなまりが、遠くまで来たのだと実感させてくれた。(太治庄三)

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