大阪城ホールで開かれた「1万人の第九」に初めて参加。ベートーヴェンの第九交響曲の合唱部「歓喜」を1万人で歌う催しで、今年で35回目。
中央のアリーナにオーケストラと合唱団の一部、周りの観客スタンドを合唱団が取り囲み、アリーナの残り部分とスタンドの一部に観客が入って、合計1万4千人がぎっしり席を埋めた。
1万人で音が合うのか、心配していたが無用だった。佐渡裕さんが360度向きを変えながら両手両足、全身を使ってタクトを振り、中盤、4つのパートが次々に追いかけ、絡み合う「フーガ」部では、会場が大波の繰り返し押し寄せる海原となった。
佐渡さんが18年前、山本直純さんから引き継いだ時は、振り終えたら7キロ体重が減っていたとか。「1万人なんて無理、と初めは逃げ回っていたが、1度引き受けたら、すっかりはまってしまった」と漏らす。
全国各地で練習の会が設けられ、ウィーンからのグループも。第九の演奏は本場のオーストリアでも日本ほど頻繁ではなく、日本での盛況に刺激され最近になって、自分たちの財産の価値に気付いたという。
「オー、フロインデ(友よ!)」で始まるシラーの詩に感動してベートーヴェンが作曲して200年。「世界はひとつ」にはまだまだ程遠い今、より一層この曲が広まってほしい。(E)