篠山市の兵庫陶芸美術館で開催中の「弥生の美」を見に行った。160点を超える弥生土器を通し、弥生人の文化を堪能した。その帰路、弥生時代の遺構が発見された春日町の七日市遺跡を思い起こした。
七日市遺跡からは弥生時代の家や墓の跡が多数見つかっており、ひとつの地域社会を形成していたと言われる。瀬戸内海と日本海を結ぶ「加古川・由良川の道」の要衝だったことから、七日市遺跡は物流センターでもあったそうだ。
石器の石材であるサヌカイトが加古川を通って南から運ばれてくるなど、加古川や由良川を通して南から北から物資が集まってくる。それらの物資を求めて多くの人々が集まってきた。自然と村も大きくなった。2000年以上前、たいそうな賑わいを見せていたようだ。
七日市遺跡は旧石器時代にも賑わった。30万年前から2万年前ごろまで日本に生息したナウマン象を狩猟する拠点だったのだ。群れをなして氷上回廊を通るナウマン象を待ち受け、仕留めるため、七日市遺跡に近隣各地から旧石器人が多数集まってきた。
はるか遠い過去から人々の営みがあった地に私達はいる。私達のいる今の背後には悠久の歴史がある。そして、この今は未来へとつながる。気が遠くなるほどの時間軸の一点に私達がいることを思う。 (Y)