日頃の行い

2018.03.08
丹波春秋

 昨春、屋根から落ちて頸椎と鎖骨を折り、瀕死の大けがをした丹波市内の知人Aさんが奇跡的に回復を遂げた。

 換気ファン撤去作業のために上がった屋根から降りる際、梯子を踏み外して4メートル転落。朦朧としながら携帯電話をズボンから取り出し、暗証番号を入力して119番。その後はかすかに聞こえる救急隊員の話声、ドクターヘリのエンジン音以外、何も覚えていない。気が付けば豊岡病院の救急治療室。首がギブスで固定されていた。

 頸椎の損傷部をマスクの仮面ですっぽり包んでビスで固定する手術は成功したが、これだけでは完治が長引き、問題も残る。しかし頸椎固定や骨移植を含む本格的な手術まで踏み切るのも、リスクがつきまとう。

 主治医の説明に、家族からは「若くないのだし」と心配がられたが、「担当医とスタッフを信じて決断しなさい」と後押ししてくれたのが、旧知の丹波の医師Bさん。8時間の大手術は首尾よくいって、2カ月後に退院。特別の後遺症はなく、今もリハビリに通うが約1年で概ね完治まで漕ぎつけた。

 「骨折部位があと5ミリずれていれば下半身全麻痺を免れなかった。様々な幸運が重なった」とB医師。Aさんは「人のつながりの大切さを改めて知った」と話す。筆者はAさん自身の日頃の行いが物を言ったのだと思う。(E)

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