もみじ散策

2018.11.29
記者ノート

 丹波市観光協会のもみじめぐり9ヶ寺のうち、円通寺、高源寺を友人と巡った。シーズン中は天候もよく、人出も例年より多かったようだ。

 「幾百年もの風雪に耐えてきた寺社に詣でると、昔ながらの佇まいや日本人の心に触れることができる」という言葉をかみしめた。円通寺の池のほとりを歩きながら、昔の人も同じ景色を見て、何を思い、何を感じたのかと思った。

 高源寺の山号は西天目山。山梨県には東天目山の寺がある。開山の師、遠谿祖雄禅師が修行した中国杭州の天目山に由来し、古木の天目楓が映える。作家の水上勉が著書「日本紀行」で「大徳寺の石畳や、大原三千院の参道も美しいけれど高源寺に比べると格段の差がある。身をおいただけで、肝を洗う空気がある」と表現した。観光化した京都では感じられない素朴さと吸い込まれそうな雰囲気がある。

 三重塔から本堂を経て、苔むした石段を下りると聞きなれない言葉が飛び込む。台湾のツアー客だった。外国人、とりわけアジアの人たちは、禅宗寺院の風情に共感するのだろうか。師走を前に、心を落ち着かせた。「鐘の音が静かに響くもみじ寺」。(臼井 学)

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