「阿波、さぬき、伊予、土佐。これは何でしょう?」。「四国4県の昔の国名」と答えれば80点。「いずれの県にも同名の市がある。そのうち阿波、さぬきは平成の合併で生まれた」と付け加えれば満点だ。
九州には筑後、豊前、壱岐、対馬、日向。本州に戻れば長門、出雲、備前、美作、丹波、淡路、摂津、和泉。そして越前、加賀、伊勢、志摩、伊賀、美濃、飛騨、伊豆、甲斐、佐渡。関東・東北は下野、いわき、むつ。こうして見ると、全国で30の市が“昔の名前で出ています”。
観光地が揃う中で、しかしすぐに名産物を連想するのは、丹波のほかはうどんのさぬきくらい。「丹波市」の誕生が少なからず物議を醸したのには、そういう事情があった。
ともあれ、篠山市がかなり高い住民投票率で「丹波篠山市」への改名を決めたのは、よかった。経費は相当かかったし、これからも要るだろうが、これだけ全国に報道され注目されただけでも、宣伝効果はお釣りが出るほどあった。
伊豆市(静岡県)の隣には伊豆の国市、甲斐市(山梨県)の近くには甲州市もある。それぞれ、こちらからはうかがえない確執を持ちながら張り合っていることだろう。谷口丹波市長は「我々は相思相愛」と言った。後々にもよかったと思えるように両市が切磋琢磨していってほしい。(E)