大相撲

2018.11.29
丹波春秋

 横綱の相次ぐ休場で、年間6場所通じて全て勝ち越した力士が皆無という、冴えない大相撲。そんな中で22歳、貴景勝の記録的な若さでの優勝は新風を吹き込んだ。

 小気味良い取り口ながら、聞かんきそうな面構えが可愛げないというのが、デビュー当時の印象だったが、インタビューに登場して「白星、黒星を気にするのでなく、内容を求めて取れば結果はついてくる」とか「来場所駄目になったら元も子もない。今からが大事」など、考え考え受け答えしているのを聞いて、「こいつは行ける」と思った。 
 日馬富士の不祥事以来、モンゴルの横綱達にどうも清新さが感じられず、後続の力士も一時旋風を起こしてもすぐ腰砕けになるという状況でも大相撲人気は衰えないが、多くのファンが思い切った世代交代を期待している。

 貴景勝と並んで敢闘賞を取った阿武咲も同じ歳で、中学時代から張り合ってきた。一層の小兵ながら十両で力をつけつつある炎鵬。そして、怪我で三段目まで落ちていたが7戦全勝の優勝で復調の兆しを見せる元幕内の宇良。沈滞気味だった土俵を彼らに大いにかき回してほしい。

 近年は中学、高校生の相撲離れが進み、親方達の眼も勢い外国に走りがちだが、国内にもまだまだ逸材が埋もれていることを見直させた場所でもあった。(E)

関連記事