プロ野球日本シリーズはソフトバンクがあっけなく勝って、複雑な気持ちだ。筆者は元来、セより人気のないパ・リーグファンながら、〝弱小球団〟の楽天やオリックスを痛めつけているソフトバンクは好きになれず、むしろセの御三家(巨人、阪神、中日)を果敢に突き放した広島の方に愛着を感じ、応援した。
だが第1戦の1回裏、広島が先制の2点を取ったものの、なお1アウト1、3塁の追加点の好機に6番野間が空振り三振に倒れた時点で、嫌な予感がした。
結局、広島の得点はこの2点止まり。後半に追いつかれ引き分けに終わったこの試合が、シリーズを象徴したと思う。野間がスクイズを成功させて3点目を奪い取っていれば、ソフトバンクの敵への見方がぐっと変わっていたろうに、緒方監督の采配はただ打たせるだけだった。
全6戦を通じて広島自慢の足が8盗塁死を重ね、逆にソフトバンクは主力打者の内川にさえバントを2回も命じていずれも得点に結びつけるなど、機動力を縦横に発揮した。
ペナントレース2位のソフトバンクがセ・リーグ断トツの覇者広島に対し、「これがプロだよ」と見せつけた事実をどう見るか。両リーグ交流戦もずっとパが優勢。セは人気に甘んじず、減らした交流試合数を元に戻して、もっとパに学んでほしい。(E)