狩猟歴半世紀以上 ベテラン猟師 足立善徳さん(丹波市青垣町稲土)


くくり罠 猪と知恵比べ

 狩猟歴半世紀以上のベテラン猟師。単身山に入り、自作の「くくり罠」で獲物を仕留める猟を30年以上続けている。技術の高さから猟師仲間に一目置かれる存在。探究心の塊で、イノシシを中心に野生動物との知恵比べを楽しんでいる。

 猟師が仕留めたイノシシは、石生駅から鉄路で篠山に運ばれ売られた。昭和38年の豪雪時に近所の猟師がイノシシを大量に獲ったのを見て「冬の仕事に」と志した。プロ猟師が大勢おり、犬を放しチームで銃猟をする伝統的な巻き狩り猟に加わった。一貫目(3・75キログラム)1万3000円、昭和45、46年ごろは30―40キロのイノシシ1頭で17、18万円にもなった。「子ども8人を鉄砲で大きくしたという人がいた」。

 昭和の終わりごろからシカが増えた。この頃から、ワイヤーに脚をからませる「くくり罠猟」に切り替えた。塩ビパイプとバネとワイヤーを組み合わせた小型のわなは改良を重ねるほどに模倣され、あちこちで使われている。

 ねらいはイノシシ。シカが少ない猟場を求め、鳥取県まで猟に出かけた。山を見たらイノシシが通りそうな所が分かる。「理屈理論ではない。野性の勘」。「獲物がわなを踏みさえすれば獲れる。踏ますにはどうするか。発想の良い者と悪い者の差が出る」とにんまり。

 先輩の教え「かけがえのない命をよばれるんやから、殺生はするな。食べるか、肉を売ってお金にするかどっちかや」を肝に銘じている。「補助金のためのような猟は好まない」。

 来シーズンに向け、わなを作っている。「79歳の来季はもう1年猟をやりたい。猟はおもしろい」。78歳。