非欧州人種への偏見

2019.02.28
丹波春秋

 メキシコ国境での壁建設を、国家非常事態を宣言してでもやり遂げようとするトランプ大統領。何よりも支持者向けに選挙公約を守るためだろうが、ドイツ系移民の彼には非欧州人種への偏見の匂いが多分にある。

 狂信的なドイツ民族主義者だったヒトラーは、枢軸同盟を結ぶことになる日本のことを、心中では「想像力を欠いた劣等民族。小器用なのでドイツの手先に使う分には役立つ」くらいに考えていたという。

 トランプは東欧スロベニア出身の妻やユダヤ人の娘婿を持つ。しかし、「恐怖の男 トランプ政権の真実」(ボブ・ウッドワード著)の記述には驚く。

 民主党議員を交えたある会議で、中米のハイチやエルサルバドル人へのビザ発給について「どうしてそんなクソ壺みたいな国の人間を」と言い放った。大坂なおみを通じてハイチと親しくなった我々には、ムカつくような品を欠いた言い方だ。見かねた側近が「アメリカは世界から優秀な移民を受け入れたい。我々だってたいがいクソ壺の出身ですよ」と勇敢にも遮った。

 そのトランプが米朝会談を自己評価してノーベル平和賞を狙い、安倍首相が“日本を代表して”推薦文を引き受けたとか。推薦はトランプに気に入られている安倍さんの自由だが、「日本人なんて」と軽んじられたくだけはない。(E)

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