1月から戦国武将・明智光秀を主人公に、群雄割拠の乱世を描いたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映がはじまる。織田信長の命により、2度にわたって兵庫・京都にまたがる旧丹波国に対して、「丹波攻め」を行った光秀。光秀と激戦を繰り広げた兵庫県丹波市の黒井城の地元は「大河」決定を地域活性化の好機ととらえ、熱心に活動を展開している。その内容と思いを追った。
武将・赤井(荻野)直正が城主だった黒井城跡を核にした地域おこしを図っている。
地元の黒井小学校区の34人でつくる。一昨年の4月、「麒麟がくる」の放映が決まった5日後に会を立ち上げ、その5日後には初会合を開くなど“電光石火”の動きを見せた。
黒井が大河ドラマと深くかかわるのは、1989年放映の「春日局」以来2度目。約30年後の今回、吉住孝信委員長(71)は「前回は春日局出生地の興禅寺に観光客が訪れたという印象」と話す。「今回は地元の人が黒井城跡への登山を楽しみ、親しみを持つようになったり、観光客には観光ボランティアグループ『お福ちゃんガイド』による“おもてなし”も充実している」と目を細める。
昨年4月には、戦国時代の武者が戦の前に茶を飲み、心を静めたという言い伝えに着想を得て、黒井城跡などで一大イベント「ようこそ御茶の国丹波へ」を開催。陣幕の前で手作り甲冑を身にまとった武者が茶をすすったり、能楽師による能の披露も企画するなど、戦国時代の情景を再現した。
今回の大河を機にした地域おこしの柱を「既存イベントの充実」「空き家の活用」としている。今年11月の「黒井城まつり」では、古式火縄銃演武を行う「丹波亀山鉄砲隊」(亀岡市)を招くほか、他市で行われるイベントには甲冑姿で“参戦”して練り歩くなど、他団体との連携を図る。一方で、観光客と地域住民の交流を見据え、空き家を改修した観光拠点の整備を計画している。
吉住委員長は「赤井直正という武将がいたことを全国に発信できれば」と話している。