阪神・淡路大震災の発生から17日で25年。東日本大震災や毎年のように発生する風水害など災害がより身近になっている。そんな中、防災への備えが大切だと分かってはいるものの、非常用持ち出し袋の用意ができていないという人も多いのではないだろうか。防災士として活動している足立佳菜子さん(64)=兵庫県丹波市山南町奥=に、自身の非常用持ち出し袋を見せていただき、アドバイスをもらった。
緊急時に備えホイッスルも
懐中電灯は、暗い中で探さなくてすむよう、袋にぶら下げている。家族それぞれに首から下げる名札も作っており、ホイッスルを一緒に付けている。「避難所の女性トイレでは犯罪の危険もあると聞くので、いざという時のために」と足立さん。
「衛生用品や化粧品などは、とりあえずのものなので、上等のものでなくていいと思います」
足立さんは、市役所のカウンターに置いてあるウエットティッシュや、歯科医院でもらった洗口液、宿泊先にあった歯ブラシセットなどを活用。レインコートは100円ショップのもの、化粧品はサンプルでもらったものだ。
また、家族に介護者はいないが、トイレが使えないときに役立つと考え、大人用の紙パンツも準備している。
何かと便利な風呂敷とさらし
役に立ちそうな▽油性ペン▽メモ▽はさみ▽輪ゴム▽ライター―などは、ファスナー付きのプラスチック袋にまとめている。
また、何かと便利に使え、おすすめなのが「風呂敷」だという。さらし布も、けがをしたときは三角巾にしたり、赤ちゃんのおむつにしたりと用途が広い。
このほか、持ち出し袋には▽氷ざとう▽タオル▽マスク▽カイロ▽くつ下▽ビニール手袋▽ぐん手▽ロープ▽保温用レスキューシート▽救命救急用マウスピース―などを入れている。
リュックの詰め方のポイントとしては、「背中側にはタオルなどやわらかい物を入れるとごつごつしない」とアドバイス。
食料品は消費しながら備蓄
災害の種類にもよるが、食料は避難所で配られたり、後で取りに戻れると考えて、リュックには入れていない。
水はタンクでくみ置きし、缶詰類、切干大根、こんぶなどの食料品は、多めに買っておいて、消費しながら備蓄する「ローリングストック」にしている。
また、備蓄の意味で、味噌と梅干しは毎年多めに作っている。
兵庫県の地方部に暮らす足立さんは「畑に行けば大根やネギがあり、味噌さえあれば、いざという時に味噌汁の炊き出しができる。味噌作りは、田舎で役立つ備えではないでしょうか」と提案している。