高地に初夏の彩り 希少な「クリンソウ」見ごろ 一大群生地まるで「花園」

2020.05.22
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多紀連山の群生地で咲き誇るクリンソウ=2020年5月17日午後1時15分、兵庫県丹波篠山市火打岩で

兵庫県丹波篠山市にある多紀連山の山中に群生する希少植物「クリンソウ」が見頃を迎えている。自生地の規模としては日本一ともいわれ、赤紫のかれんな花が初夏の高地を美しく彩っている。

 絶滅危惧種をリストアップした兵庫県版レッドデータブックBランクに記載されるサクラソウ科の多年草。山地の湿地に生えることが多く、5―6月に2・5センチほどの花を数層に輪生して咲かせる。この様子が、五重の塔の九輪に似ていることから名付けられた。
 多紀連山の峰の一つ御岳の、標高約500メートル付近で咲き誇っており、約4300平方メートルに約15万株が広がっている。
 群落地を保護しようと、12年前に「多紀連山のクリンソウを守る会」が発足。以来、会員らが年間10回程度通い、定点観察をはじめ、観察道や看板の補修作業などを行っている。
 同会の津田博利さん(73)は「もし花を見に来られる場合は、集団で密にならないよう気をつけて」と呼びかけた上で、「汗をかきながら歩いた後、目の前に広がる花園の美しさを感じ取ってもらえれば」と話している。

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