「いつもと違う」通知表に コロナ禍で学習面評価できず 2学期に渡す学校も

2020.08.06
ニュース丹波市地域地域

ある学校の通知表の学習のようす部分。今学期は、学校によってはこの部分を配布しなかったり、観点に斜線が入るところがある

新型コロナウイルスの感染拡大により混乱の中で始まった1学期が、兵庫県丹波市では7日、学期末を迎える。終業式の日に担任教師から手渡される通知表が、今学期は幾つかの学校で、例年と違ったものになりそうだ。1学期は学習面の評価を記載しない、または部分的にとどめる学校がある。2学期の初日に渡す学校もあり、コロナがなければ生じなかった変則的な形になる。

教科のうち、3段階で評価するのは5、6年生の場合、9科目。今年度から英語が新たに加わった。通知表は、学習のようす(成績)、行動のようす、出欠の記録、教師が児童のがんばりなどを記載する所見などの欄がある。青垣小と新井小は「学習のようすを十分評価できる状況にない」と、今学期は学習のようすの成績(3段階での評価)の記載を見送る。2学期末に1、2学期分を合わせた評価を記載する。

青垣小の堀博文校長は「本格的に学校が始まった6月からの2カ月間で取り組んだ、児童の顕著な点を所見に書く」と言い、新井小の柳川瀬武彦校長も「所見に、学習のようすも盛り込む」と話している。北小と進修小は、3段階で評価する科目のうち一部を今学期は記載し、他の科目は2学期末にする。

所見を書く学校がある一方、今学期は記載しない学校もある。吉見小の足立圭造校長は、「夏休み初日の8日の土曜に個別懇談を開き、学校でのようすを保護者に直接伝え、所見記載は見送る」としている。

大半の学校が、「全く教えていないわけではない」と、全教科で評価も所見も記載する「通常通り」の通知表を発行する。これらの学校でも十分に教えられなかった部分は、評価を記入する枠に斜線を入れて対応することがある。

鴨庄小は、通常通り出すが、児童に手渡すのは8月24日の2学期始業日。6日までしっかり授業し、夏休み中に通知表づくりに取り組む。同小の八尾滋樹校長は、「授業時数確保のため学期末ギリギリまで授業をする。授業と通知表作成で教師の業務が学期末に極端に増えるより、夏休み中にじっくり取り組む方が良いと考えた」と話している。7月初旬に保護者に説明し、理解を得ている。

ある校長は「通常通り出すのと、従来と違った形にするのと、どちらが正しいというものではなく、今学期の現場の苦慮が、通知表にも詰まっている」と話していた。

文部科学省によると、通知表は「各学校で子ども自身や保護者に学習状況を伝え、その後の学習を支援することに役立たせるために作成されているもの。扱い、記載内容や方法、様式などは各学校の判断で適宜工夫されている」とし、内容はもちろん、発行するか、しないかも含め、「校長の裁量内」という位置づけ。

作成が義務付けられている児童一人ひとりの学習記録、健康状態、出席などの公式記録「指導要録」は、全校がつくり、学校で保管する。

学習指導要領の改訂に伴い、通知表のうち3段階で評価する教科は今年度から、全て3つの観点に統一される。昨年度までは、国語は観点が5つ、他は4つだった。

市内中学校は昨年度までと同じ通知表を出す。

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