当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市柏原町にある「7体の石仏」です。
奥村川沿いに立つ兵庫県丹波市柏原町上中町(かみなかまち)公民館前に祭られている観世音菩薩と地蔵菩薩の計7体の石仏。「さまざまな病気に霊験あらたか」とされている。道向かいには最近まで柏原赤十字病院があった。病気平癒に御利益のある石仏だけに、何かしらの因縁を感じずにはいられない。
由緒について、こんな話が伝わっている―。大正初期、大師講を主宰するなど信仰心があつい女性の夢枕に観音様が立ち、「奥村川に石像が埋もれているので助けてほしい」とお告げがあった。その言葉通り、観世音菩薩と地蔵菩薩の石仏が数体見つかった。その驚きとありがたさから、大師講の人や上中町の住民が総出で祭ったのが始まり。その後も石仏が奥村川に流れ着き、現在の7体になったという。
近所の内堀弘三さん(86)は、「母(よちゑさん)が生前、近所の北川弘子さんと一緒に、ほぼ毎日、水や花を替えにお参りしていました。その御利益か、101歳(2013年没)の大往生で、弘子さんもその後100歳近くまで長生きされました」とほほ笑む。
自治会長の加賀山隆夫さん(76)は、「日々の家内安全はもちろん、病と闘う人たちの心の支えにもなっている。この先も自治会や参拝者の皆さんと共に大切にお祭りしていきます」