当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市春日町野上野で41年前に見つかった「銅鐸」です。
春日歴史民俗資料館(兵庫県丹波市春日町黒井)で展示されている2つの銅鐸。この弥生時代中期に作られたと推定される青銅品は昭和後期、同町野上野の果樹園で自然薯掘りの最中に見つかるという、人々の話題をさらう格好で土の中から姿を現した。
1981年11月1日、”第1”の銅鐸は、同地区出身者が掘り出した。大発見はこれにとどまらず、同年12月23日には、近くを調査していた県教育委員会が”第2”の銅鐸を発見。その距離、わずか1・8メートルほど。同27日付の丹波新聞の記事には、杉本喜八郎町長をはじめ県、郡の関係者、考古学者らが現地を訪れ、「ふだん静かな発掘現場は大にぎわい。熱気に包まれていた」とある。出土現場は、小字名から「野々間遺跡」と名付けられた。
同地区の能勢均会長は、「今では(銅鐸は)地元の人の話題に上らなくなってしまったけれど」と話す。それでも発掘から41年たった今年、この銅鐸が小さなブームを起こしている。長年、同資料館で銅鐸を模した花瓶が販売されていたが、3月にリニューアルオープンした道の駅「丹波おばあちゃんの里」(同町七日市)の物産館でも販売を始めたところ、9月末までに40個ほどが売れたという。
市教委によると、昨年までは年間3個ほどが売れる程度だったとし、10倍以上の売れ行き。同施設は「『かわいい』と言って、オブジェとして市外の人が買うことが多いですね」と笑顔を見せた。