228人「足立さん」一堂に ”日本一のまち”で「集まれ祭り」 足立の歌披露も

2022.11.19
地域歴史

足掛け8カ月に及ぶ事業のフィナーレで、足立さつきさん、足立知謙さんを囲み、記念写真に納まる来場者、実行委員たち=2022年11月13日午後2時7分、兵庫県丹波市青垣町山垣で

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に遠祖の足立遠元が登場したのをきっかけに地域を発信しようと、足立姓が日本一集まっている兵庫県丹波市青垣町遠阪地域の旧遠阪小学校でこのほど、足立さんの交流会「全国の足立さん集まれ祭り」が行われた。各地の足立さんとのリモート座談会、足立氏をモチーフにした歌の披露などがあり、228人(記帳者のみ)の人出でにぎわった。うち120人を足立さんが占めた。遠くは東京から来場した人もあった。

座談会は、横浜市、福岡市、出雲市、川西市、東京都府中市、杉並区、京都府福知山市と会場を結んだ。親が丹波市出身など、9人全員が足立さん。ドラマで遠元役を演じ、9月に丹波市を訪れた俳優の大野泰広さんが舞台の合間を縫って、福岡市からオンラインで参加。「私だけ大野」と笑いを誘い、司会の足立晃一郎さんが、「遠元役だから、大野さんも足立さん」と応じた。

「希望の歌」を初披露する足立さつきさん、知謙さん

会場からは、遠坂村探究会のメンバーで、足立の歴史に詳しい平岩泰典さん=先祖が約200年前に足立から改姓=が、遠元の孫の足立遠政が1209年に地頭として派遣され、この地に根付き、足立姓が増えた歴史的経緯を説明。市観光協会事務局長の足立はるみさんは、「21画の旧姓から、結婚して9画の足立になり身軽になった」と切り出し、過去に青垣町内を調べた時点では、全世帯が足立姓の自治会が複数あったことを紹介した。

74歳の足立歳勝さんは、「高齢者の健康には、足が大事。足で立つ、足立は良い姓」などと語った。

会場来場者とオンライン参加者に同姓同名が1組あり、足立孝さん(82)に記念品が贈られた。

また、足立知謙さんが祭りのために書き下ろした「希望(あだち)の歌」を、知謙さんのシンセサイザー伴奏に合わせ、ソプラノ歌手の足立さつきさんが絶唱。武蔵国足立郡を出て、出雲、伯耆まで広がりながら、命と絆をつないできた足立氏をたたえる壮大な曲に、聴衆はこの日一番の拍手を送った。知謙さんは、「故郷のための曲を作れて感無量」と、思いをかみしめた。

地元の青垣中学校、氷上西高校は、吹奏楽の合同演奏「鎌倉殿の13人」で花を添え、横浜市の「足立製麺」から麺を取り寄せたラーメンも好評だった。

参加した足立久美子さんは、「旧姓の芦田の時は、同姓同名は2、3人。結婚した途端6人に増えた」と言い、夫の「足立一郎」さんは、同姓同名が10人近くあり、「(信用)金庫の一郎さん、農協の一郎さんと呼んでいた」と、足立姓が多い土地ならではのエピソードを語った。

各地と結んだオンライン座談会

東は埼玉県、西は島根県まで足を運び、「足立」つながりをつくり、祭りへの参加を呼び掛けた足立喜信実行委員長(66)は「皆さんの協力で成功できた。『足立サミット』でなく、祭りにしたことで、多くの方に参加してもらえた。各地の足立さんとのつながりができた。交流を続け、遠阪の魅力発信につなげられたら」と話していた。

今年4月に祭りを発案。ドラマにちなみ、20―60歳代の13人で実行委員会を組織。足立の歴史を学ぶ講座、大野さんを招いたトークショーなどで機運を高めた。

「丹波のくそ足立」とやゆされるほど丹波市に足立姓は多く、特に旧青垣町に多い。中でも遠阪地域は約370世帯、870人のうち、今でも約60%を足立姓が占めている。

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