「戦争を長く語り継いで下さい」 兵士の父の日誌を本に 青年が記した日常と胸中

2023.09.10
地域注目

父・好一さんの日誌を本にまとめた岡田さん=兵庫県丹波市春日町下三井庄で

太平洋戦争開戦直前の3年間、陸軍信太山野砲連隊(大阪府和泉市)に所属していた、兵庫県丹波市の岡田好一さん(2007年、88歳で逝去)が兵営で書いた日誌を、長男の岡田龍雄さん(71)が「戦争を長く語り継いで下さい 無名兵士の手記」と題した本にまとめた。部隊での出来事を淡々とつづる一方で、望郷の念や家族への思いなども垣間見え、兵でありながらも一人の青年として胸中に抱く感情が書き連ねられている。岡田さんは「父はあまり戦争の話はしなかったが、レコードで『露営の歌』を聞いては涙を流していた。日誌を読み、その気持ちが分かったような気がする」と話している。

好一さんは1938年(昭和13)に入営し、真珠湾攻撃直前の41年12月に満期除隊。45年には2度目の召集があった。日誌は1回目の召集時のもので、41年3月10日―9月4日まで毎日、丁寧な字でつづられている。

部隊での兵器検査や演習の様子、上官に命じられた使役の内容など、日々の出来事がしたためられている。外出が許可された日には出かけ、食事や漫才を楽しんだり、父と面会したりと、日中戦争は始まっていたが、内地での日常が記されている。

つらつらと書かれた日誌は、9月4日に「あゝ一変。かけない」と記され、突如、終わっている。岡田さんは「社会情勢が厳しくなり、書くことができなくなったのかもしれない」と推測する。

「岡田家の皆さんへ」と題名が記され、家族に宛てた遺書も収録した。幼いころに亡くなった実母への思い、父や継母、祖父母への感謝を示し、「一家和合の中に家業の遂行をお祈り致して止まぬ」と締めくくっている。

本のタイトルは、日誌を含む戦争にまつわる品々を収めていた木箱のふたに好一さんが手書きしていた「戦争を長く語り継いで下さい」から取った。岡田さんは「戦争を語れる人が少なくなり、遺品などで伝えなければならなくなる。その一助になれば」と話している。好一さんが残した満期兵の住所録をもとに、戦友たちに本を届けるという。

インターネットによるクラウドファンディングで賛同者から資金を募っており、制作費などに充てる。5000円の支援で、本1冊を届ける。

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