丹波黒大豆栽培に緑肥活用 代替肥料、病害抑制に 土づくり学ぶ

2023.09.13
地域

マメ科緑肥を活用した土づくりとその効果について解説する雪印種苗の中内さん=2023年8月30日午後2時45分、兵庫県丹波篠山市網掛で

兵庫県丹波篠山市のJA丹波ささやまがこのほど、四季の森生涯学習センターで、黒大豆栽培におけるマメ科緑肥を活用した土づくりとその効果について紹介、解説するセミナーを開いた。丹波篠山市内の農家約100人が受講し、専門家から緑肥のメリット、デメリット、現在、高騰を続けている肥料資源の代替としての活用のほか、病害虫を抑制する働きがあることなどの説明を受けた。

緑肥は、植物そのものを肥料として利用することで、主にイネ科とマメ科の植物が使われている。

講師は、雪印種苗株式会社の中内智仁さん。緑肥作物の効果として、地上では、▽景観美化や養蜂資源▽防砂・表土の流亡防止▽雑草の抑制―などを挙げ、土の中では、▽空気中の窒素が固定される▽根の張った跡が空気や水の通り道となり、土壌の透水性が改善▽微生物の多様化と増加により、特定の病害虫を抑制する環境がつくれる―などを挙げた。

その上で「病害虫対策か、有機物や窒素の供給か、目的を持って導入を」とし、「緑肥作物は播種、栽培、すき込み、腐熟と、長い休閑期を必要とするため、黒大豆や水稲などの主作物がほ場にある時期を考慮して作付け時期を決める」などとアドバイスした。

病害虫抑制効果に着目した活用では、大豆栽培の天敵、ダイズシストセンチュウの抑制効果が大きいマメ科のペルシアンクローバとクリムソンクローバを紹介。無栽培と比較してセンチュウの密度が半分から4分の1にまで低減したデータを示した。

解説を熱心に聞く参加者

また、肥料高騰の折、窒素供給効果の高いマメ科は、「肥料資源の代替として有効」とし、黒大豆栽培とヘアリーベッチ(マメ科)を組み合わせた活用を解説した。10月後半にヘアリーベッチの種を10アール当たり3―5キロまいて栽培。翌年5月後半に刈り取り、すき込んでうね立てをし、6月中旬に播種もしくは定植するといった作付けスケジュールの一例を示した。

同JAは、近年の異常気象の影響により、丹波黒大豆をはじめとした特産物の安定した生産量と品質維持が課題とし、持続的安定生産の実現に向け、栽培の原点といえる土づくりを学んでもらおうと、昨年に続いてセミナーを開いた。

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