全国チーズコンで上位入賞 子牛飼育から手がける工房 2大会連続は「過去数組」

2023.11.28
地域注目

放牧している子牛を背に、ナチュラルチーズコンテストでの上位入賞を喜ぶ婦木さん=兵庫県丹波市春日町野村で

全国の工房が国産ナチュラルチーズの出来栄えを競う「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で、自家飼育のジャージー牛から搾った生乳で製造する丹波婦木農場(兵庫県丹波市春日町野村)の丹波チーズ工房が出品したブルーチーズ「丹波ブルー」が、上位3位に当たる中央酪農会議会長賞を受賞した。最優秀賞に輝いた前回大会に続く栄冠。事務局によると、2大会連続での3位以内入賞は「過去に数組しかいない」快挙という。

2年に1回開かれている大会。14回目の今年は、過去最多の109工房248点の出品があった。「フレッシュ」「ソフト」などの12部門で、▽外観▽色調▽組織▽風味―の項目が審査された。

丹波チーズ工房は前回、「蔵熟成ゴーダ」で最優秀賞に輝いた。今年は「丹波ブルー」(青カビの部)、「蔵熟成ラクレット」(ハード熟成3カ月未満の部)、「スノーホワイト竹炭熟成」(ソフトの部)の3種類をエントリーした。

丹波ブルーは、チーズ製造を担当する婦木敬介さん(31)いわく、「初心者向けではなく、青カビチーズ好きのためのチーズ」。がつんと効いた塩味と、特有の香りがあり、ワインなどの酒によく合う。

3年の試行錯誤を重ねた逸品。工房内の蔵で4カ月から半年間かけて熟成させる。青カビをむらなく生やし、苦みを抑えるコントロールに苦心した。海外生産者が発信しているユーチューブの動画や文献、婦木さんが北海道で学んだ師匠の製造方法を参考に、仕込みや熟成の方法を工夫した。

婦木さんは「未知数の商品だったのでびっくり」と栄冠に驚きつつ、「3大会連続で入賞したい。次も別のチーズで」と、先を見据えた。

◆今秋から放牧挑戦 目指す「里山酪農」とは

今秋から、高騰している餌代を抑え、里山保全につなげようと、牧草の種をまいた工房近くの土地(約2反)で、1歳の子牛2頭の放牧を始めた。「荒れた田畑や未間伐の暗い山を開き、草を育てて牛を放ち、チーズに加工する。小さな酪農家が生き残る『里山酪農』のロールモデルを目指す」と婦木さん。若き酪農家の挑戦は続く。

丹波ブルーは、税込み1000円(80グラム)で販売。農場内のチーズ工房ショップや同農場大阪昭和町店(大阪市阿倍野区)で購入できる。

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