「人気世界一」を全面刷新 自転車タイヤ「グラベルキング」 未舗装路用「成長の武器に」

2024.04.20
地域注目

10年ぶりに全面リニューアルした「グラベルキング」を手にする大和社長=兵庫県丹波市氷上町石生で

国内唯一の自転車タイヤ専業メーカー「パナレーサー」(兵庫県丹波市氷上町石生、大和竜一社長、120人)が、海外向け主力商品「GRAVELKING(グラベルキング)」を全面リニューアルし、販売を始めた。「グラベル」はスポーツ自転車で砂利道を走る自転車の新しい楽しみ方。販売開始から10年、大和社長は「次なる成長の武器になる」と言い、同商品をはいた初のツーリングイベントを7月21日に地元で初開催する。

世界一人気があるグラベルタイヤ。1本1本、熟練の社員が手作りしている。大和社長によると、グラベルは10年ほど前にアメリカで流行。同社は2014年、いち早く専用タイヤを投入したパイオニア。ヨーロッパ、日本でも近年、人気が高まっている。同社製造タイヤの半数が北米を中心とした輸出。「グラベルキング」がその大半を占める。

トレッドパターンの異なる4タイプの「グラベルキング」

全面リニューアルに伴い、新しい素材配合を開発するなどし、従来品と比べ、高いグリップ力、しなやかな乗り心地などを実現。新たに旗艦モデル「Ⅹ1」シリーズを投入。タイヤの溝「トレッドパターン」の異なる4タイプを用意し、▽砂利道でよりパンクがしにくい▽舗装道路で軽快に走れて砂利道も走れる▽スピード重視―など、用途別に計12種類そろえ、タイヤサイズも増やした。

大和社長(60)は「新型コロナ後の自転車業界は、市場が在庫調整中で、不況。来年ぐらいに落ち着くとみて、出遅れないようにここで新しい商品を発売した」と語った。

主催イベント「パナレーサー グラベルキングライドin丹波」は、丹波サイクリング協会と共同で開く。同社をスタートし、兵庫県朝来市の粟鹿山林道などを走る90キロ(グラベル率30%)と、70キロ(同20%)のコースで、計90人の定員が募集開始直後に埋まった。

同社はニセコ(北海道)、宿毛(高知県)などのグラベルイベントでスポンサーをしてきた。大和社長は「丹波で興味を持ってもらえるのか、という頭があったが、想像以上の反響。グラベルの認知度の高まりを感じる。阪神間から近い地の利がある。未舗装路の良いコースができれば、丹波に頻繁に走りに来てもらえるだろう」と手応えを感じている。

 

県が認定「ひょうごオンリーワン企業」

パナレーサーは、優れた技術や製品を持ち、国内外で高い評価、シェアを得ている中小企業を顕彰する、兵庫県の「ひょうごオンリーワン企業」に認定された。70年以上の長きにわたる開発の知見と、国内外のサイクリストに愛用されている点が評価された。

2023年度の認定は12社。16年度に始まった制度で、市内3社目。

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