ドライヤーをヒートガンに 理容師がカーラッピング挑戦 コロナの事業再構築で

2024.04.14
歴史注目

ドライヤーをヒートガンに持ち替え、カーラッピング事業を始めた酒井泰成さん。自身でデザイン、施工したモデルカーと=兵庫県丹波市山南町池谷で

100度程度の温風を送るドライヤーを、600度の熱風が吹きだすヒートガンに持ち替え、あなたの車を美しくスタイリングします―。兵庫県丹波市山南町の理容店「サカイヘアーサロン」が、4月から「en-form」の屋号で、専用フィルムを車に貼るカーラッピング事業に乗り出した。BMWのモデルカーをこしらえ、宣伝活動中。「簡単にカラーチェンジできる。まずは相談を」と利用を呼びかけている。

同店の酒井泰成さん(48)。車好きで、趣味で愛車のラッピングを楽しんでいた。新型コロナ禍、客足が鈍ったことから、丹波市近郊に専門店がないカーラッピング事業を第2創業に発案。ポストコロナ時代の事業所の事業再構築を支援する経済産業省の事業再構築補助金の採択を受け、作業用の車庫を理容店の隣に設け、フィルムメーカーの講習会にも参加し、技術を習得した。

ドライヤーと似た形のヒートガンで専用のフィルムを温め、柔らかくして貼っていく。熱を加えると伸び、いったん冷えたところで再加熱すると縮む性質があり、伸縮性を利用しボディに密着させる。フィルムに適した施工温度15―25度を保ち、ほこりを嫌うため、空調が整った車庫で作業する。施工後24時間一定の室温で養生する。

講習会で、フィルムを貼る職人ではなく、スタイリストになるよう助言されたという。「パーマ、カラー、カットでスタイルを整える理容師の仕事と共通する。ヒートガンの扱いはドライヤーで慣れている。髪を温めたり冷ましたりするのに似ている。講習会で2人、元美容師と出会った。親和性が高いのかもしれない」と酒井さん。

作業は午後9時ごろから日が変わる頃まで。「俺の楽しみの時間」。フルカラーチェンジしたモデルカーBMW「Z4」は2週間を費やした。面積が多い白、黒の部分もフィルムを貼っている。

「ボンネットだけ、ルーフだけといった部分的な施工は一泊二日でできる。出張でも貼るが、預からせてもらった方が仕上がりは良い」と言う。塗装と違って、耐久性が劣り、青空駐車では3年持たないという。

「普段は車庫に止めていて、週に数日乗るような車、趣味の車がいい。簡単に好きな色、デザインにできるのがいい。自分で貼ってはがれてしまった人や、都市部のショップに足を運んでいるような車好きに利用してもらえれば」と話している。

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