「赤鬼ラーメン」人気に じわじわ販売広がる 武将にちなむ逸品

2024.03.25
地域歴史注目特集

道の駅あおがきで提供が始まった「丹波の赤鬼らーめん」=兵庫県丹波市青垣町西芦田で

兵庫県丹波市観光協会が開発したご当地ラーメン「丹波の赤鬼らーめん」の取り扱い店舗が、市内7店舗に広がってる。トマトベースに、黒大豆みそ、酒かすが入ったスープは同じだが、それ以外は各店の自由。トッピングが異なり、価格も600―1280円と幅がある。同協会は「食べ比べ、違いを楽しんで」と話している。

「丹波の赤鬼」の異名がある戦国武将、赤井(荻野)悪衛門直正から取っている。天正年間、織田信長の命を受けた明智光秀が、「丹波攻め」を繰り広げた。同3年、丹波国に覇を唱えていた黒井城の直正との戦いでは、直正が光秀軍を挟み撃ちにする戦法「赤井の呼び込み戦法」を展開し、光秀は敗走。この作戦は、同県丹波篠山市の八上城主・波多野秀治が赤井方に寝返ったことに起因するともいわれ、直正と秀治との間にかねてからの密約があった可能性もあるという。光秀は同6年、再び黒井城を攻め、直正を病で失っていた赤井方は敗れ、黒井城は落城した。

2022年11月3日に、北近畿自動車道春日和田山道路氷上パーキングエリアの直営店舗で販売開始。その後、テナントに入居していた業者が退店し、店舗での提供は、ヒロちゃん栗園DE八百屋さん(同市氷上町朝阪)のみになっていた。

現在の「赤鬼」のスープは、土産用に開発した「悪右衛門らーめん」と同じ。「悪右衛門」は、全国観光土産推奨品。今年度、兵庫県物産協会の「五つ星ひょうご」に選定され、堅調に売れている。味わえる店の少なさが課題で、協会理事らが新規取扱店を増やすべく、会員にあっせんしていた。

今年度、ひかみカントリークラブ(同市氷上町新郷)、ひかみ四季菜館内のお食事処四季(同町犬岡)、無鹿リゾート(同市春日町下三井庄)、レストラン山の駅(同市柏原町柏原)、いろはのい(春日町多田)、道の駅あおがき(同市青垣町西芦田)の6店が協力。うりの郷(同市柏原町南多田)も提供準備を進めている。

最安値は「四季」。具は、モヤシ、なると、ネギ。「肉を入れると単価が上がる。シンプルにし、食べてもらいやすい価格にした」と、運営する氷上つたの会の秋山佐登子さん。最高値は「山の駅」。鍋焼きラーメン風で、丹波市産「丹波ポーク」のチャーシューなどが入った豪華版。同店の奥畑和也さんは「うちはスープに辛みを足し、ピリ辛にしている」とPRする。

2月11日から販売を始めた道の駅あおがきは、焼き豚、ゆで卵などをトッピングし、950円。店で提供を始めたことで、味を知った人が土産に買い求める波及効果が生まれているという。大谷吉春駅長は「爆発的に売れるところまでいっていないが、比較的若い人が食べている。地道にPRし、観光客が動き出す春からにつなげたい」と期待する。

市観光協会の足立はるみ事務局長は「取扱店を増やし、ご当地ラーメンの認知度を高めたい。ラーメンを食べに丹波市に行こう、となれば」と話している。

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