創作現場で刺激受け 学生対象に初のツアー クラフトヴィレッジ

2024.04.24
丹波篠山市地域

竹細工の森田さんの工房を訪れた学生たち=兵庫県丹波篠山市細工所で

兵庫県丹波篠山市内で暮らす工芸作品の「作り手」と「使い手」をつなぐ活動に取り組んでいる「丹波篠山クラフトヴィレッジ製作委員会」がこのほど、学生を対象に作家の工房を巡る初のツアーを開いた。学生らは作家の技術を間近で見たり、発想の源泉を聞いたりとさまざまな形で交流。多くの作家が創作の場として丹波篠山を選んでいる現状も垣間見た。

同委員会の呼びかけに応じた京都伝統工芸大学校と京都芸術デザイン専門学校から学生6人が参加。工房もりた(細工所、竹細工)、馬川祐輔さん(曽地口、陶芸)、so arrow(口阪本、ガラス)、AOBA POTTERY(東吹、陶芸)を巡った。

工房もりたでは、森田誠也さん(47)が竹細工の実演をしながら作業を説明。学生たちはミリ単位で竹を削り、作品に仕上げていく工程に「きれい」「細かい」などと驚いた。学生から「なぜ丹波篠山を選んだのか」と問われ、森田さんは、「都市部との距離感がちょうどよく、空気、食べ物、居心地、全てが心に残る場所。バイクで日本縦断もしたけれど、自分にとってはここが一番良かった」とほほ笑んだ。

馬川さん宅では、球体やリングなどを使った独特の世界観が広がる作品に遭遇。発想の源を問われた馬川さんは、「人間も物も、星を作っている要素と同じ、ただの物質で出来ている。なのに考える人間って何だろうと。そして、その人間がまた物質を作っている。そんなことを考えながら作品を作っている」と言いつつ、「よく分からないけど」と手のひらで土を球体にし続けながら苦笑した。

同大学校から参加した加藤愛美さん(31)は、「なかなか見られない現場を見させていただいた。丹波篠山ならではの自然や環境にひかれて作家が集まっていることが分かった」と話していた。

同委員会は、ものづくりを学ぶ学生に、作家自身のことや、創作現場として丹波篠山が選ばれていることを知ってもらい、刺激を受けてもらおうと企画した。

関連記事