当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波市柏原町南多田の柏原中学校の中庭にたたずむ「昭和池古墳群第8号墳」です。
一枚岩の天井石が架かる古墳。中庭を囲うように渡り廊下が設置されており、移動教室の際は必ずと言っていいほど古墳が目に入る場所に位置するため、生徒の学校生活に溶け込んでいる。
柏原町東部地域には、大歳神社古墳群、藤の目古墳群、東奥古墳群など比較的小規模な古墳群が分布しており、8基ある昭和池古墳群の一つが同中学校にある。
古墳そばの案内看板によると、長さ1・3メートル、幅2・1メートル、厚さ1・2メートルの一枚岩の天井石が「かなり傾いてはいるもののかろうじて」側壁上に架かっており、「昭和30年代の旧校舎建設時に、敷地内に横穴式石室が露呈し、それ以降学校の中庭の一部として利用されてきた」と紹介している。
旧校舎敷地造成時、石室の前庭部や奥壁の上半分、墳丘がえぐり取られ、古墳の形状や規模は不明という。崩壊の危険性が増した1998年、補強工事を実施。現在の校舎が完成した2009年、校舎に隣接する中庭などの周辺整備工事を実施し、「歴史の庭」として完成した。
案内看板には、「歴史の庭」として整備される前の古墳の写真が掲載されている。整備前の同中学校に勤務していた事務職員によると、「以前の古墳は今より無造作にたたずんでいた印象がある」と振り返る。「古墳、本校舎、グラウンドが目に入る位置から見る夕日がきれいですよ」




























