91年前の12月25日、大正天皇が崩御し、「大正」から「昭和」に時代が変わった。
当時、昭和の「昭」はなじみがなかったらしく、国語学者の金田一春彦氏は「はじめのうちは『昭』という字が見馴れない字で落ち着かない感じだった」と書いている。
大正の後の元号をめぐってスクープ合戦を繰り広げた新聞社も同様だった。いち早く「昭和」の情報をつかんだ時事新報の記者が取材現場から会社に電話をかけると、会社では「しょう」の字を理解できずにいた。記者が「日へんにおめしの召しという字」と伝えても、「そんな字があるのか」といぶかしがった(猪瀬直樹氏『天皇の影法師』)。
さて、きょうはクリスマスイブ。日本でクリスマスが風物詩になり始めたのは明治の末頃という。大都市ではイルミネーションが注目を集め、サンタクロースも登場した。
今田町出身の下中弥三郎が創業した平凡社が大正5年に発行した辞書『や、此は便利だ』では、サンタクロースについて「児童を愛護する不可思議なお爺さん」と説明している。何とも珍妙な説明で、まだまだなじみがなかったことがわかる。
昭和がすっかり根を下ろしたように、今ではサンタを知らない子はいない。きょう、すべての子どもがサンタさんのあたたかい懐に抱かれることを祈る。(Y)