正月の電話

2018.01.11
丹波春秋

 正月休みに会社の電話番をしていると、「新聞が来ていない」など苦情の連絡が少なくない中で、うれしいこともあった。

「元日号だけ郵送してほしい」と京都府からの電話。老人ホームに住む、かなり年輩の方らしかったが、住所や名前の漢字の説明はしっかりしている。「毎年元日号だけ送ってもらっている。年金暮らしで定期購読はなかなか出来ないんですが」。

 新聞は2日に届いたとのこと、すぐに代金プラス送料分の額の切手を同封した礼状が来た。恐らく丹波の出身で、正月だけでもふる里の空気に触れたいというお気持ちなのだろう。

 もう1件は「2、3年前に丹波市から阪神間に引っ越したが、丹波新聞はずっと読んでいる」という、若い読者。「暮れに2番目の子供が生まれた。丹波市住民の時に生まれた長男は、名前が『よろこびの園』欄に載った。自分の実家は丹波市に残っているので、今回も載せてもらえないか」。

 この欄は市役所への出生届が情報源になっている旨を伝えると、「それならこれから丹波市まで行って届けます」。他市の住民でも受け付けられる場合があることを、初めて知った。

 「戦前生まれの私の父も、私も、兄も載ったんでねえ。この子だけ載らなかったら寂しがるかも知れないので」。受話器のこちらで深く頭を下げた。(E)

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