気がつけば二十四節気でいう「霜降」だ。日増しに気温が下がり、朝晩は寒いと感じるくらいになった。こうなると、またあのくさい季節の到来だ―。
冬越ししようと、カメムシがひっきりなしに部屋の中に侵入してくるのだ。窓を閉め切っていても、薄っぺらい体の形状を活かし、難なく室内に入ってくる。先日も取材を終え、自室で記事を書こうと、いすに腰を下ろした途端、あの強烈なにおいが漂い始めた。慌てて腰を上げると、“奴”を尻で潰してしまっていた。閉口しながら体液がついたズボンをはき替え、いすのその部分には丹波新聞を2号分重ね置いて仕事を再開した。数分後、今度は向き合っているノートパソコンの縁を、触角を小刻みに震わせながら闊歩する“奴”が現れた。よく見るとカーテンレースにも3匹、窓枠には5匹も。屋外へ放り出す際、少しでも雑に扱ってしまったら「プシュッ」だ。私は毎年こうした“奴ら”との攻防を繰り返しながら深まる秋と冬の気配を感じている。「カメムシが多い年は大雪になる」といわれるが、さて今年はどうなのだろう。(太治庄三)