筆者も実行委員を務める「たんば・田舎暮らしフォーラム」が、大阪に続いて神戸でも多くの人を集めた。200席の会場がいっぱいにあふれ、来てくれた同郷の友人が「すごいなあ。丹波ってそんなに魅力あるんやろか」と驚いていた。▼コーディネーターの長澤さんが「何故田舎に住んでみたいんですか」と場内の人にマイクを向けたら、「自然が良い」「自分で野菜を作りたい」などの声が返ってきて、わが意を得た思いだった。▼きれいな自然環境については、改めて言うまでもないが、「安全な食料の確保」ということでも、都会の人は気づき始めているのではないだろうか。「飽食の時代」と言われながら、国内の自給率は低下する一方。まして良質な食べ物ということになると、供給は限られている。▼かつて、著名な評論家が「食料自給率など気にしなくていい。金さえあれば外国から何でも買える」と豪語していたが、見当はずれもはなはだしい。今や大豆や小麦の有力な供給地だった中国が、13億の人口を抱え、ブラジルなどから輸入を始めている。▼いくら金を積んでも食べ物が簡単には手に入らないという時代が、やがてまた来る可能性を想定しておいた方がいい。田舎に関心が集まることの底流には、意識するしないに関わらず、そんなことも潜んでいるのではないか。(E)