今田町内にある観光施設で入場者を対象にしたアンケートが行われた。こんだ薬師温泉ぬくもりの郷、陶の郷、兵庫陶芸美術館の3施設だ。それによると、どの施設ともに50歳代女性の入場がもっとも多かった。無礼を承知で言うと、「おばさんパワーここにあり」という感がある。▼中年女性が物見遊山を楽しむ。これは何も時代が新しくなってからとは言えない。江戸時代にもあちらこちらに出かけていたようだ。「男ばかりか女も湯治にかこつけて、物見遊山に歩き回る者が多い」と記された1700年代後半の史料がある。「夫に留守番をさせ、お金を出させている」ともあり、たくましいかぎりだ。▼江戸時代の後半、幕府は「旅行が好きな女房は離縁すべし」とのお触書を何度も出した。それだけ、多くの女性が外で遊んでいたということだ。男性優位の社会でも、女性はしたたかにパワーを発揮した。▼さて現代。中年夫婦の数組が列車で旅行に出ると、女性は4人がけで座ってしゃべり、食べ、笑う。男性はというと、みんな寝ている。この見慣れたような光景は、俳優の大村崑さんが講演で話していたものだ。▼大村さんは「男は65歳を過ぎたら、明るく老後を生きられるよう、おばさんに学びなさい」と勧めていた。おばさんパワーは健康長寿の源かもしれない。(Y)