「息子を駅に送って行ったら泣きそうになったわ」―。今春、長男が大学に進んだ友人からのLINEが届いた。同じように期待と不安をかばんに詰めて改札をくぐった頃が懐かしく、ついに送る側の世代になった。そういえば、最近はほとんど駅を使わない。
JR福知山線の丹波大山駅前で12日、地元の“うまいもん”が楽しめる「オオヤマルシェ」が開かれた。篠山で農業ボランティアなどの活動をしている神戸大学の学生サークルが「地域密着型」を目指し、駅周辺地域にある店舗を重点に出店を呼びかけ、学生たちも子ども向けのゲームなどを用意し、盛り上げた。天候に恵まれ、賑わっていた。
丹波篠山市で2017年に始まった、無人駅の活用を考えるプロジェクトがきっかけ。昨年の第1回をヒントに、今年は同様の駅前イベントが、谷川駅前、石生駅前でも開かれる。駅を切り口に点と点がつながり始めた。
地域の活性化を願う学生たちの思いをつなぎ、丹波地域の駅が、別れよりも、新しい出会いや「おかえり」のシーンが多くみられる場所になればと願う。(芦田安生)