プロ野球オープン戦が始まり、いよいよ春。今年はチャキチャキのアメリカ人監督、コリンズを迎えたオリックスに注目したいが、選手で気になるのはまず、そのオリックスから契約がこじれて追い出された中村紀洋。▼中日のテストを受け、二軍より地位の不安定な「育成選手」として再スタートする。年棒四百万円は昨季二億円の五十分の一、近鉄での全盛期の五億円に比べると、まさに天国と地獄。中日にしてみれば、破たん企業を超安値で買い叩いたようなものだ。▼あれだけの実績を残しながら何かと悪口を書かれていた中村は、きっと不器用な人間なのだろう。いま少し減量し、バッティングも力まかせに振らず軟らかさを身につければ、まだまだ再生がきくはずだ。「競争して這い上がらせる」という落合監督は、技術面のみならず不思議な力を持つ人だから、きっと悪い結果にはならないと思う。▼もう一人は、メジャーリーグの球団とマイナー契約した桑田。こちらはどの程度通用するか、皆目わからないが、中村以上に悪口ばかり書かれてきた彼が、あんなに晴れやかな顔を見せるのは初めてではないか。▼ほかにも工藤、吉井らもう一花組に期待。そして最後に、これも近頃良い話題のとんと少ない巨人の原監督。やはり巨人が憎いほど強くなければ、野球は面白くない。(E)