インタビュールームから

2019.08.25
記者ノート

 夏の甲子園大会閉会式終了後の球場インタビュールーム。取り囲む記者に「涙がありませんね」と水を向けられた履正社エースの清水大成君は「まだ、実感がありません。まあ、部屋に戻ってから泣くってこともないんですけど」と笑わせた。

 2回戦を除く5試合を取材した。その日の試合に関するやり取りがあった後、軽く雑談し、場を和ませるのが清水君だった。星稜の奥川投手の事を、「奥川さん」と、同級生ながら敬称で呼ぶ理由を聞かれた時も「奥川さんくらいになると、『奥川さん』でしょう」と笑いを誘った。

 投手は過酷だ。甲子園の大舞台となると尚更だ。インタビューをしていても、日を追うごとに疲れがたまっている様子は見てとれたし、決勝戦終了後のインタビューでは全力を出しきった疲れからか、立っているのがつらいという感じで屈伸を繰り返した。

 甲子園最後のインタビュー時間の終わりを告げるアナウンスがされた。最後に、「清水君、続きは〇〇で」と、彼が好きだという丹波市内の焼肉店の名前を大声で言った。清水君は、笑っていた。いつものように。(足立智和)

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