子どもの身を守る道具として、ここ数年で必需品となった携帯用防犯ブザーだが、効果はどれほどのものなのか。それを確かめる試みが、篠山市住吉台自治会で行われた。自治会内の約20カ所で、1分間ブザーを鳴らすというもの。住民には取り組みを事前に告知しており、聞こえたら表に出てくるか合図を送ってくれるよう伝えた。 結果、ブザーが聞こえたという反応があったのは平均4件程度。全くリアクションがなかった場所もあった。参加者の1人は、「予想外に聞こえないようだ」と驚きをもらした。住宅地のため、家屋の壁や生活で出る音がブザーを聞こえにくくした面はあるだろう。しかし、使用される状況の緊急性を考えると、結果を軽く見ることはできない。 試みの中で、「ブザーの音に対する緊迫感が、市民にまだないのでは」という指摘も出た。例えば、消防サイレンなら、聞こえた瞬間、誰もが火事を察知する。そのような意識付けが必要では、という意見だ。ブザーは、音が他人に聞こえて危機が認識されないと役目を果たせない。本当に有効な道具にするため、地域ぐるみで再点検することも必要だろう。(古西広祐)