19日のNHKテレビの市民討論番組「止められますか地方の衰退」で、「地域の集約化」という問題が提起された。「一定規模の地域の中で人口を拠点地区に誘導し、病院や福祉施設などを集中させて住民の利便を高めると共に効率化、低コスト化を図る」考え方で、最近中央省庁で主流になってきているらしい。▼番組参加者には、賛否は分かれても「決めるのは自治体や住民」という意見が多く、視聴者調査でも6割が「反対」、特に東京以外の住民の反対が目立った。筆者にも「実態を知らない机上のプラン」のように思えた。集約化で拠点以外の所はどうなるのだろうか。▼作家の高村薫さんは「日本のように国土の隅々まで美しく整備された国は稀有。それを維持し積極的に活かすことがやがて戦略的な価値を持つのでは」と述べたが、ある学者は「今の財政ではとても無理」と反論した。▼番組を見ながら以前、地方出身のある若手キャリア職員が話していたのを思い出した。「同僚は東京育ちで東京の名門高から難関大を出た者ばかり。田舎と言えば軽井沢辺りのことかと思っている」と。▼なるほど、そこで「過疎地に人が住む必要があるのか」となり、政策として具現化されようとしているわけか。地方としては、エリート達にもっと田舎のことを知らしめなければならない。 (E)