書く癒し

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 短歌結社「礫の会」の会員である3人の女性が、初めての個人歌集を同時に出版された。短歌歴20年の辻弥生さん、15年の梅垣和子さん、10年の飯谷宏代さんだ。辻さんの「晒菜升麻(さらしなしょうま)」の表紙は抑えた緑色、梅垣さんの「春雪」は淡い桃色、飯谷さんの「向日葵」は明るめの青色。内容から受ける印象とほぼ一致している。 「礫の会」を指導する由良琢郎先生の解説を参考にしながら、3人の心に映る世界を垣間見せて頂いた。同じように日々の暮らしを切り取って詠んでいるのだけれど、個性というフィルターを通すとこんな風に違って見えるのかと改めて気が付いた。 「死者同士といずれはならん畔道に五月の夕べ夫と憩える」。例えば辻さんの歌にはどきっとするような視点があり、時にえぐるような独特の表現が見つかるといった具合。 3人の「歌がなかったら寂しかったでしょうね」という言葉から、さまざまな人生の苦しみや悲しみを、歌を作る時間が少なからず癒してくれたのだろうと思われる。 日記や文章を書くことにも、同じ『癒し』の効果があると思う。ぐるぐる回る思いを整理したり、考えを少しまとめたり。たまには自分と対話して、言葉を紡いでみるのもいいのかもしれない。(徳舛 純)

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