字名

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 「氷上郡内には、東中、北中と、『中』の文字に『東西南北』をくっつけた地名がたくさんある。誰かがいつかの時点でジャンケンでもして東西南北をつけたはずや。調べてみて」。と、ある人に取材のヒントを頂いて、「字名」について色々学んだ。 氷上郡内には、明治の大合併までは185の「村」があり、この名が今も176ある「大字」として、ほとんどが使われ続けていること。明治の大合併により誕生したのは、「柏原町」と25の「村」だったため、例えば、今の春日町「東中」なら、「国領村の内東中村」と、「村」の中にもうひとつ「村」をつけて表記する、ややこしい時代があったこと(大正6年に「の内」と、語尾の「村」は削除)。青垣町佐治は、明治の合併前は佐治「町」だったのに、周辺の村との合併で佐治「村」になったこと、などなど、どれもとても興味深い。 6町の町名についても町誌をひもといた。柏原、氷上を除く4町で町名が公募され、その後の協議によって決まったようだ。 感動的なのが春日町。公募一番人気の「春日」と決めた合併協議会の席上、「『春日部』の尊名を専称し、維持してきたが、合併日を限りとしてこれをお返しする」と、旧春日部村の代表の発言があったそうだ。心温まる良い話。もう少し早く紹介しておけば良かったと、勉強不足を反省している。(足立智和)

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