篠山市教育委員会は来春から、市内の一部小学校区で、進学する中学校を選択できる制度を導入すると打ち出した。将来的には市内の5中学校全てに広げる考えで、手始めとして、合併までは「近いのに他町なので行けない」という問題を抱えていた4小学校区で導入することにした。学校選択制は東京都の一部などで実施されており、県下ではほかに洲本市教委が小中学校ともに選択制にすべく検討中。全国的にも検討課題として浮上しているようだ。 合併で旧町の垣根がなくなったわけだから、近い学校へ行くのは自然といえる。また、学校選択制は「時代の流れ」(谷口哲教育長)で、特色があり質の高い教育を実現するため、必要になっていくのかもしれない。だが、小学校区はコミュニティーの基本単位。城南地区で見られたように、「コミュニティーが分断される」と多くの住民が反発したのもうなずける。 11日に地区別懇談会が開かれた真南条地区ではおおむね理解を得たようだが、選択制導入で同地区の生徒が別々の中学校に通う可能性もあり、「小学校区を一つのコミュニティーとして尊重する」という市教委の考え方と矛盾すると指摘する保護者もあった。来年度以降、中学進学を控えた子どもや保護者たちがどういう選択をし、それが地域にどう影響するのか、注意深く見守りたい。(坂本守啓)