ネパールから男性医師2人と女性看護師1人が篠山の岡本病院を頼り、来日して研修を受けている。研修といっても医師法の関係で医療行為はできないというが、日本の高度な手術の様子や機器の扱い方を見学するだけでも、彼らにとっては大きな知識の習得になり、帰国後の活躍が期待される。 知識の習得が大切なのは当然だが、彼らと話していて何度も繰り返したのは、「相手を尊敬する」ということ。「相手を思いやる“日本独特のシステム”を持ち帰れば、ネパールはもっとよくなる」と力を込めていた。 彼らが言うには、ネパールの医師は患者を大切にせず、お金のことだけを考える人が多いという。しかし、「金もうけだけでやってきた人は、大きな家に住んでも、いい車に乗っても、死ぬときには後悔以外何も残らない。でも、人々のために生きていれば、死ぬときに満足が残る」と言い、「自分たちは死ぬときに満足できるよう、どんな小さなことでもいい。何かがしたい」と声を合わせた。 ところで、彼らは英語で「System」と言ったが、日本の伝統といったところだろうか。この言葉を聞いて、日本をよく思ってくれているとうれしくなった反面、はたして私たちは今も彼らに誇れるようなシステムを持ちえているのか、という気もした。みなさんはどうお考えだろう。(坂本守啓)