渡辺氏がまいた種

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 篠山市議の渡辺省悟氏とは、議員としてでなく「篠山ナマステ会の渡辺さん」としてお付き合いさせてもらった。この夏にネパールツアーをご一緒したばかりで、亡くなられたと聞いてもにわかに信じることはできなかった。 ネパールの話をするときには、口癖のように「対等な関係でなければならない」と言われていた。金やモノを渡すだけでは、逆に相手の自立の機会を奪うことになる。同じ目線に立たないといけない。そういつも言われていた。 また、それは「51%はネパール、49%は私たちのために」の合言葉が示すように、一方的なものではない。「ネパールの人々の一生懸命な様子を通し、私たちが失ったものに気付かされる」。その思いからこの交流の成果を、特に日本の子どもたちにどう還元していくか、いつも考えておられた。 渡辺氏を中心に築かれたネパールとの信頼関係は、われわれの大きな財産になっている。学校建設という一つの目標が達成され、両者の関係は新たな段階に入っていく。お互いが協力し、共に生きていくにはどうすればよいか、これからも多くのことを聞きたかった。だがもうそれはかなわない。これからは渡辺氏のまいた種をどう育て、どう実らせていくか、一人ひとりが考えていかなければならない。(坂本守啓)

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