明智光秀を主人公にした来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映にあわせ、ゆかりの地の魅力を発信しようと、兵庫県丹波篠山市の野々垣自治会(莵原一比公会長)が、光秀が激戦を繰り広げた八上城跡が残る高城山山頂にある「波多野秀治公表忠碑」の案内板を作り、登山コース「野々垣市の谷コース」の入り口付近に設置した。
織田信長の命を受けた光秀は丹波平定戦「丹波攻め」で秀治と激闘。秀治は八上城に籠城し、1年以上にわたって戦を繰り広げた後、落城した。
「表忠碑」は、八上城主だった秀治をたたえる石碑で、住民の寄付により、昭和6年(1931)に完成。毛利家の毛利元昭の揮毫によるもので、秀治が毛利元就とともに正親町天皇の即位の費用を献上したとされることや、この功績から大正天皇が正三位の位階を追贈したことなどが書かれている。
当時の人々は石碑を完成させるため、山頂までの約2・5キロの道のりを、4トンもの石碑を1週間かけて運び上げたという。引きずりながら運んだ道には、数年間、草木が生えなかったという逸話も残っている。
案内板は、幅約180センチ、縦約90センチ。表忠碑の完成記念として昭和7年に開かれた「表忠碑除幕式」の様子を報じた当時の新聞記事を抜粋して記されている。
参加者は、同公民館で、「表忠碑除幕式」の様子を描いたスライドを鑑賞した後、設置場所へ移動。作製に関わった「高城山へ登ろう会」の山口喜昭さんが案内板について解説した。
莵原会長は「『野々垣市の谷コース』は、親子でも登れるくらいのなだらかさ。この案内板を目印に足を運んでもらえたら」と話していた。