篠山市のバス路線「曽地奥線」「火打岩線」で9月から、「乗合タクシー」が試験運行される。西日本JRバスの撤退に伴うもので、利用者は少ないながらも、沿線住民の交通手段を何とか確保しようと、市と地元住民が話し合いを重ねてきた。 市は過去に廃止になった路線との公平性を保つために地元が赤字分のいくらかを補うなら、という前提で、廃止という選択肢も含めた話し合いだった。 事前調査によると、両路線は1日の平均乗車数が1人程度と極端に少ない。車社会が確立されたなかでは、民間バス会社が撤退するのも、うなずける実状だ。ただ、バスが無くなると心細いという心理も働く。さらに今後は、バスを利用しない人も含めて赤字を背負うことになる。 ある関係自治会長は「もちろん、乗合タクシーを走らせることに反対の人もいる。高齢化が進むなか、将来を考えるとバスがないのは不安。これからは近隣自治会が助け合っていかなければ」と話す。 民間においても、行政においてもニーズの低いものは切り捨てる時代。乗合タクシーは時代と逆行しているかのような印象も与えるが、高齢化社会、福祉、住民参画のまちづくりという観点から見ると、自治体と地元住民が取り組む大事業と言える。 来年四月の本運行までに地元住民がどのような反応を見せるのか、注目したい。(芦田安生)