柏原公共職業安定所管内企業の来春の高卒求人数が、昨年同期と比べ55%程度と、大幅に落ち込んでいる。3年生の半数弱が就職を希望している篠山産業高校の進路指導部に様子を聞いてみると、「専門学科がある強みやこれまでの実績がある」とするものの、求人数は昨年同期に比べ、丹波では約半分、全体では75%ほどに減少。厳しい状況であることには変わりないという。 不況になると企業の採用志向が高学歴化するといわれるが、それは単に学力の問題ではないそうだ。その理由を「ある程度自立した生活をしてきた大学生と、家庭や学校に守られ、社会と隔離した環境に暮らす高校生では、備わる人間性や社会人としてのマナーに差が出てくるため」と、ある企業関係者は答えてくれた。だが、その一方で、「そういう高校生を支えるための、家庭、学校、地域一体となった取り組みが、これまでできていなかった」とも指摘する。 もう半年もすれば社会へ旅立つ彼らだが、まだまだ未熟であり、周りからの手助けが必要だ。しかし、今は未熟な彼らが将来の社会を担うのであり、夢や意欲を失わずに社会へ旅立てなければ、今後の丹波、日本の行方もまた、暗いものになるだろう。ただでさえ元気のなくなった今の世の中だが、若い世代の活力はなくならないでいてほしい。(坂本守啓)