PHD研修生の目

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 先日、篠山に滞在して林業体験をしたPHD協会の研修生を取材した。同協会はアジアや大洋州の若者を日本に招き、1年間の研修を受けさせている。今年やってきたのは、ミャンマー、インドネシア、タイからの3人。いずれも日本に比べて決して裕福とは言えない国の人たち。だが、表情はとても明るく、希望に満ちた目が印象的だった。 ミャンマーの男性は「化学肥料をたくさん使った農業をしているので、日本の有機農業を勉強したい」、インドネシアの女性は「保健衛生と洋裁を学び、みんなに洋裁を教えたい」と話していた。 不況だといっても、私たちは飢えることなく豊かな暮らしを過ごしている。それなのに、他人を思いやる気持ちよりも自分のことを考えてしまうことが多いように感じている人は少なくないはず。一方、彼らからは「故郷に残してきたみんなの将来を背負い、勉強しに日本に来ている」という心意気が伝わってきた。 選ばれた研修生なので余計にそう思えたのかもしれないが、彼らは日本人が失くしたものを持っているような気がする。今夏、ネパールの山村の学校運営を支援している篠山ナマステ会のツアーに同行させてもらうことになった。現地の様子をこの目で見て、自分を見つめ直すきっかけにしたい。(坂本守啓)

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