冷静に議論を

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 篠山市教育委員会が、中学校の通学区見直しや、小学校の統廃合問題も含めた教育的課題について住民の意見を聞く会を始めた。市内19小学校区を巡回し、地域ごとの課題について話し合うという。 中学校の通学区の変更が問題になっている地域であった説明会のやりとりを聞いていて感じたのが、住民の不安や不満はよく分かるのだが、冷静さに欠けているという点だ。市教委の出した構想に批判はあるだろうが、議論のたたき台としては意味のあるものだ。それに対して住民が個々の意見をぶつけていては、いつになっても堂々巡りをするだけだ。 通学区が変更になることを不安視する人もいるだろうし、逆に通学距離が近くなって喜んでいる人もいるだろう。まったく関心のない人もいるはずだ。通学するのは、親ではなく子ども。現場の先生たちの声も無視できないはず。賛否両論、関心のある無しがあって、それを集約したものが住民の意見だ。 この問題は、合併効果をねらったものではあるが、深刻な少子化という社会的背景もある。将来の市の姿や子どもたちの様子を想像する必要もある。自分の子だけを考えて論じる問題ではない。住民の意見を形成するうえで必要な資料は行政に求めればよい。冷静に、じっくりと意見を交わしてこそ、実のある議論になる。(芦田安生)

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