篠山市に移り住んだある人が、「青垣町という町名はたいへんきれいだ」と言ったのがきっかけで、社内で町誌をめくると「新町名の『青垣』は、この町村合併に際して全然予測されなかった」という面白い事実が書かれていた。 名前は町民からの公募。「応募九百八件のうち、一票だけの『青垣』が採用された」とある。「青垣(あおかき)」とは、広辞苑によると「垣のようにめぐっている緑の山を形容する語」。「美と幸につつまれた平和で文化の高い新生の町つくりを期待して選定した」そうだ。 他町の名前の由来や選定の理由についても教えてもらった。氷上は加古川上流が「氷の河」と呼ばれていたことが関係しているよう。春日は西暦七百年頃から「春日郷」の名前が木簡などに残っており、「雅味、美字、簡明」などの理由で選定されたとある。 柏原はその昔、カシワの葉を宮中に献上していたという話があり、町村合併時には「歴史、行政、社会的に広く知られている」という理由から採用。山南、市島も合併関係地域の呼び名として通用していたことが大きな理由として挙がっている。 残念なのは、町誌も二、三巻と版を重ねるにつけ、「町名の由来」が省かれているものが多いこと。町名を誇れることは、まちの誇りにもつながると思う。大切にしたい。(徳舛 純)