端的に書く。小児科医を招へいし、目前に迫った柏原病院の母児医療崩壊の危機を回避できるのは、県以外にないという共通認識を市民、県議、市長、市議は持つべきだ。県には、医師補充のない人事異動と、「集約」案により柏原赤十字病院の産科撤退に大義名分を与えた責任がある。選良諸兄は神戸の本庁に出向き、問題を引き起こした当事者に詰め寄り、医師を派遣させなければならない。 市民も後ろ盾となろう。知事と出会う人は、最後にこう付け足すようにしてはどうだろう。「ところで、お医者さんの件どうなりました?」。県幹部にも同様に。声を届けるには手紙、電話、メールもある。県は手が届かない遠い存在ではない。 数年前、県立病院に関し県がパブリックコメントを募った際、県下で最も多くの意見を寄せたのは、柏原病院のお膝元の柏原を中心とする丹波地域だった実績もある。 県下でも休診する病院が相次ぐなか、柏原病院の小児・産科を存続たらしめているのは、両科の医師5人のうち4人までもが、丹波地域出身者という奇跡的なめぐり合わせによるものにほかならない。奇跡が終えんを迎えぬよう力を合わそう。(足立智和)